抗年記

何も考えないで年を重ねるのは厭だなー、と

ボストン・リーガル

アマゾン・プライムに加入したので、元を取ろうという貧乏根性から、プライムビデオを観ています。観放題なのは、プライム・ビデオにリストアップされているタイトルのみですが、これが定期的にアップデート(つまり、新しいタイトルが追加され、一定期間を過ぎると削除されるタイトルもある)されるので、結構アンテナに引っかかるものがあるのです。

この間観たパーソンオブインタレストは本当によく出来たドラマでした。夢中になりました。アメリカやイギリスのドラマを観ると、比較して日本のドラマは本当にお粗末だと感じます。(でも日本のTV番組制作について別の機会にコメントします)

ボストン・リーガルは題名は聞いたことがあったけれど観たことがない番組でした。デビッド・E・ケリーの作品でジェイムズ・スペイダー主演ですから面白いに決まっているのに、なぜか観たことがなかった。

ケリーはもともと弁護士出身のライター・プロデューサーで、LAロー、ピケットフェンセズ、アリーマクビール、ザ・プラクティスなどの、弁護士もののドラマで有名です。医療もののシカゴホープも彼の作品。

アメリカのショウビジネス、特に、映画やTV番組はハリウッドが作っています。インディペンダント系は別ですが。そしてハリウッドはリベラルつまり左寄りというのが大方の認識です。

ボストン・リーガルを観ていて、ほんと、左だわ、と思いました。2人のメイン・キャラクターのうちジェイムズ・スペイダーは民主党(左)、ウイリアム・シャトナーは共和党(右)なのですが、この二人は政治的には両極端に位置するのに、男同士の強くて深い友情で繋がっています。後者は道化の役で、彼の極端な保守主義銃火器への嗜好などがジョークのネタとなっている。

実際のUSでの放映は2005年の秋から2008年の12月までということは、ジョージWブッシュ政権2期目のさなかに始まり、オバマが次期大統領になることが決まった時点で終了しました。ドラマの会話の中に、当時進行中の大統領選についてのコメントが端々に組み込まれ、オバマが選出された後のエピソードでは、いかにそのことがリベラル派にとって誇らしいことだったかがわかるセリフもありました。今観ても、あの時の自分が感じた高揚感を思い出します。

また、法廷ドラマですから、いろいろなイシューを扱うのですが、移民、人種差別、妊娠中絶、安楽死、ホモセクシュアリティなどの民共両党の論点を観ていると、8年前も今も区別がつかないほど同じことを言っている。

オバマ政権でなんとか少し前進したことが、バカトラ政権が8年前、というか100年前に戻してしまうのかと考えると、脱力感で立ち止まってしまいます。

ボストン・リーガルエミー賞をいくつも獲得したものの、視聴率的にはヒットとはいえず、低視聴率のため最後はキャンセルになりました。キャンセルを決めたネットワークに対する痛烈な皮肉もドラマ中のセリフにちりばめられていて、楽屋落ちのようなジョークも多いのですが、見ごたえのあるドラマでした。シャトナーのコミカル演技も実にチャーミングでした。