抗年記

何も考えないで年を重ねるのは厭だなー、と

トランプの巨大な利益相反

あー、バカトラのことになると、腹に据えかねることばかりで心穏やかではいられないのですが、日本が能天気に「トランプ株価」とか浮かれているのが歯がゆいので、少し前のMother Jones の記事を引いて、いかにバカトラが無茶をやっているかの一例を紹介したいと思います。

トランプを支持したアメリカの有権者や、日本の自民党支持の、たとえば私の同僚などは、トランプがビジネスマンとして有能だから大統領としても良い仕事ができるのでは、という私から言わせればちゃんちゃらへそが茶を沸かすようなたわごとを言っていますが、まず知るべきなのはトランプは金持ちの父親からもらった巨額に資金でビジネスを始めました。若いときの発言をみればいかにバカドラ息子だったかが知れます。またビジネスマンとしてゴミみたいな仕事しかできずいくつものビジネスを倒産させています。

(以下が12月12日付のMother Jonesの記事から読み取れることに私見を交えています)

12月15日に予定されていた記者会見で、彼のビジネスエンパイアと大統領としての立場での利益相反についていかに対応するかという計画をつまびらかにするはずだったのに、当会見がキャンセルされました。つまり、利益相反についてなんの声明もなかったということです。

大統領の政界・財界に与える影響力を考えると、トランプはこれまで彼が運営してきたビジネスから一切手を引くのが道理。ところがトランプは「日常のオペレーションからは身を引く」姿勢は見せたものの、持ち株を手放すとは一切明言していません。これについて多くの倫理関連の専門家たちが批判をしています。大統領としてのポリシーの決定や施行が、彼の資産に大いに影響するのが明白だからです。

実際には、最大の利益相反にあたるのは彼の資産ではなく負債です。トランプタワーやゴルフコースなどの彼の上位資産は借金まみれ。最大の融資元は3億6400万ドルのドイツ銀行。他の大手の銀行はもう何年も前にトランプを見捨てています。ドイツ銀行が何を考えているのか正直不明。トランプは2005年に複数の銀行から6億ドル以上の融資を受け、2008年に不動産市場が右肩下がりになったときに危機に陥りました。ドイツバンクへのローンの一部(4千万ドル)の返済期限直前に、トランプはドイツ銀行を相手取り30億ドルの訴訟を起こしました。国際経済の混乱を招いたのはドイツ銀行であり、その結果トランプの投資が失敗したというのが彼の訴えです。

自分に都合の悪いことは全て他人のせいにしてきた、彼の「バカ息子」人生の結晶のようなエピソードです。というか、借金返すの当然でしょ?違うんですか?

こんなことがあったのに、なぜドイツ銀行はトランプと縁を切らなかったのでしょう。マゾなんでしょうか。

いずれにせよ、今のところ、ドイツ銀行はマゾでよかった、と思っているはずです。なぜなら、ドイツ銀行並びにほかのトランプへの融資元が健全に運営を継続できることが次期大統領の私的ビジネスには必要だからです。

そしてドイツ銀行は、オバマ政権からも、悪質なローン商品などで経済を悪化させた一因として標的になっており、この秋140億ドルの賠償金の支払いを求められました。このニュースのあと、ドイツ銀行の株価は暴落しました。この金額についてはまだ政府とドイツ銀行の間で交渉が進んでいますが、来年の1月20日までに折り合いがつかなければトランプ政権がこの案件を引き継ぐことになります。前述したように、ドイツ銀行の経営とトランプの私的ビジネスの関係を考えると、トランプ政権が、このような、トランプの私的ビジネスに大きな影響を与える案件をどう扱うかは慎重に見ていく必要があると思います。