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抗年記

何も考えないで年を重ねるのは厭だなー、と

「ハッピーホリデイズ!」

そこそこ、シーズンにふさわしい話題をひとつ。

日本や、アジアの他の国では、この時期「メリークリスマス!」という掛け声がよく聞かれます。日本人のキリスト教徒の人口は、Wikipedia によれば、260万人ほど、全人口の2%くらいだそうです。でも、ほとんどの人が特に気分を害することなく「メリークリスマス!」って言いますよね。これが、アメリカに行くと、あちらはDiversity (多様性)を尊重するというのが建前の国ですから、キリスト教以外の人たちに気を遣って “Happy Holidays!” というのが politically correct (政治的に正しい)とされます。だから、11月末の感謝祭を過ぎたあたりから、人が別れる際の挨拶は、“ Happy Holidays!”が大勢を占めます。日本でも近年クリスマスカードを送る人も増えてきたようですが、「メリークリスマス & ハッピーニューイヤー!」と書いてありますね、だいたい。これもアメリカでは “Season’s Greetings”  季節のご挨拶、といった無難な表現が多いです。

めんどくさいな、と思う方もいらっしゃるかもしれませんが、多人種、多文化で生きていくには、周りの人の気持ちを考慮する必要があり、Happy Holidays や Season’s Greetings はそういった配慮の結果だということです。(大勢を占める、というのは言いすぎかもしれません。東海岸や、西海岸の大都市ではそうですが、中西部、南西部の田舎では違うかな、とも)

ところが!来年から米大統領に就任するトランプが、またバカなことを言っているのです。「これからはメリークリスマスと言うぞ!」

トランプの人となり、言動、経歴、大統領としていかに不適格か、については、私は言いたいことが山ほどあり、今回の記事では敢えて控えますが、この「これからはメリークリスマス」という発言の裏にあるアメリカ社会の白人至上主義 “White Supremacist’ との関連について少し語ります。

この言葉ひとつとっても、語ることは多すぎてその一部しかカバーできませんが。

White Supremacist は、もう少し穏やかめの表現では White Nationalist と言われます。Alt-Right とも呼ばれます。Nationalist は国粋主義、Alt-Right のAltはAlternative の略で「別のとって替わるもの」そして Rightは右翼、つまりAlt-Right は「これまでとちょっと違う右翼」といった意味でしょう。でも結局はどちらも White Supremacistなのです。

トランプは移民の国外追放、受け入れ拒否、また、イスラム教徒は全てテロリストといった過激な訴えで、それを支持する白人層の票を得て大統領に選出されました。とはいっても、得票数ではヒラリーに惨敗したんですけどね。それも話すと長くなるのでさておき、「これからはメリークリスマスと言うぞ」というのは、キリスト教徒以外(つまり移民とその子孫)に配慮するつもりは一切ないぞ、という宣言なのです。もちろん、黒人を含めた有色人種にもキリスト教徒は多くいます。でも多くのアフリカ系アメリカ人はこの時期、クワンザを祝います。ユダヤ系の人々はハヌカを祝います。でも、見た目だけではどの人がどの宗教を信じているかわからないから、”Happy Holidays” がもっとも波風たてない挨拶なのです。もちろん、キリスト教徒だというのが明らかな相手の場合は「メリークリスマス!」と言って全く問題ありません。

ヒラリーを応援した民主党の人たちは、あまりこだわりはなく、どっちでもいい、と挨拶の言葉にあまり重きを置いていないという統計があるようです。要は気持ちの問題ですものね。逆にトランプ支持者は’Happy Holidays!”にムッとくるらしい。彼らの狭量さをよくあらわす例です。

私は明日から仕事を休みます。メールの自動返信には当然 “Happy Holidays!” と入れました。(すみません、外資系に勤めております)それを見てカチンとくる人がいたとすれば少し溜飲が下がる思いです。