抗年記

何も考えないで年を重ねるのは厭だなー、と

2017

アラビアのロレンス」を初めて最初から最後まで観ました。220分の大作。こんな時じゃないとじっくり観られませんから。

最初真黒な画面が5分くらい続いてテーマ曲が流れます。

ピーター・オトゥール若かったー!最初はコメディかと思うほどの軽いノリでしたが、カイロからアラビアに派遣されるとしばらくは砂漠のシーン。途中で黒い装束で登場したオマー・シャリフの美しいこと!

それからロレンスの活躍が描かれ中尉から少佐へ昇進したところで「インターミッション」。またまた真っ黒い画面で音楽だけ流れます。

後半になるとぐっとトーンが変わります。

映画は事実に随分脚色が施されているようで、実在の人物の遺族たちからいろいろクレームもあったようですが、ロレンスの人物像と彼が成し遂げたこと、彼の内面の葛藤、史実の大事なところはきちんと押さえているらしいです。

この映画が発表されたのが1962年ということですから、群衆のシーンなどもCGなど使わず凄い数のエキストラを使ったわけで(ヨルダン王国の軍をそのまま借りたらしいです!)「大作」と呼ぶにふさわしい映画でした。昔の映画って丁寧に作られたんですね。7部門でアカデミー賞も獲得しました。名作ですから一度は鑑賞するに値するでしょう。

おせちをつまみながら、インターミッションのほかにもいくつか休憩を入れながら楽しみました。(一番下はロールキャベツ。これがまた美味しいのです。)

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Call the Midwife

BBC制作のCall the Midwifeというドラマをご存知でしょうか。

ジェニファー・ワースというもと看護士のメモワールを基にした、1950~1960年代の看護婦(ここではあえてそう呼びますね)と助産婦の資格をもった修道女たちの活躍と妊婦たちの日常と非日常をつづったドラマです。

既にシーズン6に入り、本国イギリスではつい先日クリスマス・スペシャルが放映されたばかりです。今回は、ノナタス・ハウスのシスター2人とナース3人、ターナー医師とその妻のナース、そしてハンディマンのフレッドまでこぞって南アフリカの村へ出張するお話でした。 

ちなみに、イギリスのTVドラマは連続ものでも1シーズンの本数は少なめです。4本だったり、多くても10本とか。アメリカの場合は、ABC,CBS,NBC,FOXなどのメジャーなネットワークの場合、23から24本を制作して、9月後半から翌年の5月末くらいまでを1シーズンとします。

イギリスのドラマに話を戻すと、人気のある番組はクリスマスの当日あるいはその近辺に「クリスマス・スペシャル」のエピソードを放映します。イギリスではクリスマスは家にいてTVを観る人が多いということでしょうか。

Call the Midwifeは、最初、原作者と同じ名前をもった主人公がいました。ジェシカ・レインという女優でしたが、その彼女がシーズン3の終了と同時に辞めてしまったのです。脇役ならいくらでも替えがいるけれど、主役。イギリスのプロダクションと俳優の契約はアメリカほどがっちりしていないそうです。無茶な拘束をしないのですね。似たようなケースにダウントン・アビーのマシュー(メアリーの夫)を演じた俳優が、やはりシーズン3で「事故死」という設定で去りました。

主役級のキャラクターがいなくなれば、話全体の方向性が変わるわけで、制作側も苦労の多いことだとは思いますが、Call the Midwifeにしろ、ダウントンにしろ、その後も話は続いた(続いている)のですから、Everyone is replaceable つまり絶対必要不可欠な人などいないということですね。こういう態度をアメリカの番組制作者がとることができれば、TV俳優の給料も「1エピソード1億円」のようなバカげたことにはならないと思うのですが。

トランプの巨大な利益相反

あー、バカトラのことになると、腹に据えかねることばかりで心穏やかではいられないのですが、日本が能天気に「トランプ株価」とか浮かれているのが歯がゆいので、少し前のMother Jones の記事を引いて、いかにバカトラが無茶をやっているかの一例を紹介したいと思います。

トランプを支持したアメリカの有権者や、日本の自民党支持の、たとえば私の同僚などは、トランプがビジネスマンとして有能だから大統領としても良い仕事ができるのでは、という私から言わせればちゃんちゃらへそが茶を沸かすようなたわごとを言っていますが、まず知るべきなのはトランプは金持ちの父親からもらった巨額に資金でビジネスを始めました。若いときの発言をみればいかにバカドラ息子だったかが知れます。またビジネスマンとしてゴミみたいな仕事しかできずいくつものビジネスを倒産させています。

(以下が12月12日付のMother Jonesの記事から読み取れることに私見を交えています)

12月15日に予定されていた記者会見で、彼のビジネスエンパイアと大統領としての立場での利益相反についていかに対応するかという計画をつまびらかにするはずだったのに、当会見がキャンセルされました。つまり、利益相反についてなんの声明もなかったということです。

大統領の政界・財界に与える影響力を考えると、トランプはこれまで彼が運営してきたビジネスから一切手を引くのが道理。ところがトランプは「日常のオペレーションからは身を引く」姿勢は見せたものの、持ち株を手放すとは一切明言していません。これについて多くの倫理関連の専門家たちが批判をしています。大統領としてのポリシーの決定や施行が、彼の資産に大いに影響するのが明白だからです。

実際には、最大の利益相反にあたるのは彼の資産ではなく負債です。トランプタワーやゴルフコースなどの彼の上位資産は借金まみれ。最大の融資元は3億6400万ドルのドイツ銀行。他の大手の銀行はもう何年も前にトランプを見捨てています。ドイツ銀行が何を考えているのか正直不明。トランプは2005年に複数の銀行から6億ドル以上の融資を受け、2008年に不動産市場が右肩下がりになったときに危機に陥りました。ドイツバンクへのローンの一部(4千万ドル)の返済期限直前に、トランプはドイツ銀行を相手取り30億ドルの訴訟を起こしました。国際経済の混乱を招いたのはドイツ銀行であり、その結果トランプの投資が失敗したというのが彼の訴えです。

自分に都合の悪いことは全て他人のせいにしてきた、彼の「バカ息子」人生の結晶のようなエピソードです。というか、借金返すの当然でしょ?違うんですか?

こんなことがあったのに、なぜドイツ銀行はトランプと縁を切らなかったのでしょう。マゾなんでしょうか。

いずれにせよ、今のところ、ドイツ銀行はマゾでよかった、と思っているはずです。なぜなら、ドイツ銀行並びにほかのトランプへの融資元が健全に運営を継続できることが次期大統領の私的ビジネスには必要だからです。

そしてドイツ銀行は、オバマ政権からも、悪質なローン商品などで経済を悪化させた一因として標的になっており、この秋140億ドルの賠償金の支払いを求められました。このニュースのあと、ドイツ銀行の株価は暴落しました。この金額についてはまだ政府とドイツ銀行の間で交渉が進んでいますが、来年の1月20日までに折り合いがつかなければトランプ政権がこの案件を引き継ぐことになります。前述したように、ドイツ銀行の経営とトランプの私的ビジネスの関係を考えると、トランプ政権が、このような、トランプの私的ビジネスに大きな影響を与える案件をどう扱うかは慎重に見ていく必要があると思います。

 

 

 

 

ずる休みしたい時、する時

ずる休みには解放感と罪悪感を同時に感じます。

高校の時は自転車で20分ほどかけて通学していたので、雨の日なんかはずるしたかった。親と同居していたのでなかなかずる休みはできませんでした。いまでもたまに、雨の朝、母親の車で送ってもらうべくいろいろ画策している夢を見ます。絶対に乗せてもらえないんですが。

社会人になってからのほうがずる休みは多い。社会人生活の方が学生生活より長くなったからそれも当然かもしれません。朝、布団の中で休む決意をするときと、髪も整え、化粧もばっちりしてあとは靴履いて出るだけ、のタイミングでどろ~んと気分が落ちる時もあります。大抵は、大事な会議や提出物がないときにこれをやる。

人と会う約束もずるで反故にしたことがあります。

私には「仲良くしておいたほうが良い」親戚がいて、時々ご機嫌伺に遊びに行く。そして行くたびに嫌な思いをして帰宅するのです。行けばご飯を食べさせてもらえるし、たまには手土産を持たせてくれるので、つきあって損はないはずですが、会うとストレスがどっとたまる。そんな付き合いってありませんか?

年末年始に遊びにおいでと言われていたので、「行きます。事前に連絡するね」と言ってありました。日が近づくにつれて、どんどん厭~な気分になってきて、さっき「インフルエンザにかかったから」と嘘をついて約束をキャンセルしました。これもずる休みでしょう。

インフルエンザは嘘です。喉が痛くて咳がでるので軽く風邪はひいていると思いますが、インフルエンザでは決してない。嘘をついたことについては、少し罪悪感があります。でもほんの少しだけ。気の乗らない約束に拘束されないことの方が私には大事。

ご飯は自分で作れるし、欲しいものは自分で買える。自立しているんですから、いつバスにひかれて死ぬかわからない人生、なるべくストレスは避けて過ごしたい。年末年始は好きなようにします。

ボストン・リーガル

アマゾン・プライムに加入したので、元を取ろうという貧乏根性から、プライムビデオを観ています。観放題なのは、プライム・ビデオにリストアップされているタイトルのみですが、これが定期的にアップデート(つまり、新しいタイトルが追加され、一定期間を過ぎると削除されるタイトルもある)されるので、結構アンテナに引っかかるものがあるのです。

この間観たパーソンオブインタレストは本当によく出来たドラマでした。夢中になりました。アメリカやイギリスのドラマを観ると、比較して日本のドラマは本当にお粗末だと感じます。(でも日本のTV番組制作について別の機会にコメントします)

ボストン・リーガルは題名は聞いたことがあったけれど観たことがない番組でした。デビッド・E・ケリーの作品でジェイムズ・スペイダー主演ですから面白いに決まっているのに、なぜか観たことがなかった。

ケリーはもともと弁護士出身のライター・プロデューサーで、LAロー、ピケットフェンセズ、アリーマクビール、ザ・プラクティスなどの、弁護士もののドラマで有名です。医療もののシカゴホープも彼の作品。

アメリカのショウビジネス、特に、映画やTV番組はハリウッドが作っています。インディペンダント系は別ですが。そしてハリウッドはリベラルつまり左寄りというのが大方の認識です。

ボストン・リーガルを観ていて、ほんと、左だわ、と思いました。2人のメイン・キャラクターのうちジェイムズ・スペイダーは民主党(左)、ウイリアム・シャトナーは共和党(右)なのですが、この二人は政治的には両極端に位置するのに、男同士の強くて深い友情で繋がっています。後者は道化の役で、彼の極端な保守主義銃火器への嗜好などがジョークのネタとなっている。

実際のUSでの放映は2005年の秋から2008年の12月までということは、ジョージWブッシュ政権2期目のさなかに始まり、オバマが次期大統領になることが決まった時点で終了しました。ドラマの会話の中に、当時進行中の大統領選についてのコメントが端々に組み込まれ、オバマが選出された後のエピソードでは、いかにそのことがリベラル派にとって誇らしいことだったかがわかるセリフもありました。今観ても、あの時の自分が感じた高揚感を思い出します。

また、法廷ドラマですから、いろいろなイシューを扱うのですが、移民、人種差別、妊娠中絶、安楽死、ホモセクシュアリティなどの民共両党の論点を観ていると、8年前も今も区別がつかないほど同じことを言っている。

オバマ政権でなんとか少し前進したことが、バカトラ政権が8年前、というか100年前に戻してしまうのかと考えると、脱力感で立ち止まってしまいます。

ボストン・リーガルエミー賞をいくつも獲得したものの、視聴率的にはヒットとはいえず、低視聴率のため最後はキャンセルになりました。キャンセルを決めたネットワークに対する痛烈な皮肉もドラマ中のセリフにちりばめられていて、楽屋落ちのようなジョークも多いのですが、見ごたえのあるドラマでした。シャトナーのコミカル演技も実にチャーミングでした。

ブラームスの子守歌

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むんちゃん、むんちゃん、

かわいい むんちゃん

むんちゃん、むんちゃん、

かわいい むんちゃん

かわいい むんちゃん

かわい・い むんちゃん

かわいい むんちゃん

かわい・い・い むんちゃん

 

これを唄うと、目をとろーんとさせて、寝たフリをします

「ハッピーホリデイズ!」

そこそこ、シーズンにふさわしい話題をひとつ。

日本や、アジアの他の国では、この時期「メリークリスマス!」という掛け声がよく聞かれます。日本人のキリスト教徒の人口は、Wikipedia によれば、260万人ほど、全人口の2%くらいだそうです。でも、ほとんどの人が特に気分を害することなく「メリークリスマス!」って言いますよね。これが、アメリカに行くと、あちらはDiversity (多様性)を尊重するというのが建前の国ですから、キリスト教以外の人たちに気を遣って “Happy Holidays!” というのが politically correct (政治的に正しい)とされます。だから、11月末の感謝祭を過ぎたあたりから、人が別れる際の挨拶は、“ Happy Holidays!”が大勢を占めます。日本でも近年クリスマスカードを送る人も増えてきたようですが、「メリークリスマス & ハッピーニューイヤー!」と書いてありますね、だいたい。これもアメリカでは “Season’s Greetings”  季節のご挨拶、といった無難な表現が多いです。

めんどくさいな、と思う方もいらっしゃるかもしれませんが、多人種、多文化で生きていくには、周りの人の気持ちを考慮する必要があり、Happy Holidays や Season’s Greetings はそういった配慮の結果だということです。(大勢を占める、というのは言いすぎかもしれません。東海岸や、西海岸の大都市ではそうですが、中西部、南西部の田舎では違うかな、とも)

ところが!来年から米大統領に就任するトランプが、またバカなことを言っているのです。「これからはメリークリスマスと言うぞ!」

トランプの人となり、言動、経歴、大統領としていかに不適格か、については、私は言いたいことが山ほどあり、今回の記事では敢えて控えますが、この「これからはメリークリスマス」という発言の裏にあるアメリカ社会の白人至上主義 “White Supremacist’ との関連について少し語ります。

この言葉ひとつとっても、語ることは多すぎてその一部しかカバーできませんが。

White Supremacist は、もう少し穏やかめの表現では White Nationalist と言われます。Alt-Right とも呼ばれます。Nationalist は国粋主義、Alt-Right のAltはAlternative の略で「別のとって替わるもの」そして Rightは右翼、つまりAlt-Right は「これまでとちょっと違う右翼」といった意味でしょう。でも結局はどちらも White Supremacistなのです。

トランプは移民の国外追放、受け入れ拒否、また、イスラム教徒は全てテロリストといった過激な訴えで、それを支持する白人層の票を得て大統領に選出されました。とはいっても、得票数ではヒラリーに惨敗したんですけどね。それも話すと長くなるのでさておき、「これからはメリークリスマスと言うぞ」というのは、キリスト教徒以外(つまり移民とその子孫)に配慮するつもりは一切ないぞ、という宣言なのです。もちろん、黒人を含めた有色人種にもキリスト教徒は多くいます。でも多くのアフリカ系アメリカ人はこの時期、クワンザを祝います。ユダヤ系の人々はハヌカを祝います。でも、見た目だけではどの人がどの宗教を信じているかわからないから、”Happy Holidays” がもっとも波風たてない挨拶なのです。もちろん、キリスト教徒だというのが明らかな相手の場合は「メリークリスマス!」と言って全く問題ありません。

ヒラリーを応援した民主党の人たちは、あまりこだわりはなく、どっちでもいい、と挨拶の言葉にあまり重きを置いていないという統計があるようです。要は気持ちの問題ですものね。逆にトランプ支持者は’Happy Holidays!”にムッとくるらしい。彼らの狭量さをよくあらわす例です。

私は明日から仕事を休みます。メールの自動返信には当然 “Happy Holidays!” と入れました。(すみません、外資系に勤めております)それを見てカチンとくる人がいたとすれば少し溜飲が下がる思いです。